株式会社ウメダニットの代表で、ファクトリーブランドとして手がけるラッピンノット(WRAPINKNOT)のディレクターでもある梅田大樹さんに、AnotherADdress 古田バイヤーがお話を伺いました。
2023年秋冬シーズンから、AnotherADdressで初の試みとなる別注品も展開。WRAPINKNOTならではの上質ニットを体感できるアイテムの詳細もご紹介します。
AnotherADdressバイヤー古田(以下、古田):WRAPINKNOTというブランドを語るには、ウメダニットという会社の歴史や、そこで培ってきた技術が欠かせませんよね。
WRAPINKNOT梅田さん(以下、梅田):ウメダニットがある新潟・五泉市は、かつて織物産業で栄えた町。戦後はニット産業へと移り変わり、現在は国内トップクラスのニット産地になっています。ウメダニットは60年以上の歴史を持つニットファクトリーで、町の歴史と同じく織物から編み物へとシフトして、両方の技術を兼ね備えているのが特長です。
古田:梅田さんはそのウメダニットの3代目として、ニットの新たな可能性を広げられています。そもそもニット技術に関して定評がある会社ですが、特に強みとなるのは?
梅田:「織り」と「編み」の両方の知見があるので、たとえば布帛とニットのように伸縮性の異なる素材をきれいに縫える縫製力や、それぞれの生地に合ったパターンを引けるのが強みですね。
古田:その技術を生かしてスタートしたWRAPINKNOTは、日本のものづくりらしい質実剛健さだけではなく、有名スタイリストともコラボするような現代的なファッション性もあるのが魅力。ディレクターの梅田さんも、相当おしゃれ好きなんだなと思っていて。
梅田:いろんな方の協力あってこそですが。高校時代からヨーロッパのハイファッションに興味を持っていて、「優れた技術とファッション性をミックスさせている」という点では、WRAPINKNOTのものづくりに生かされていると思います。
大学卒業後に勤めたアパレル企業などでの経験を経て、ウメダニットに携わったのが2007年。「ニットはオリジナリティが出せるから、クリエイティビティを加えることで差別化できる」と思い、改めてニットに舵を切ったんです。
古田:伝統産業の世代交代がうまくいった感じですよね。
梅田:でも当初は、今のような感覚でものづくりをできた訳ではなくて(笑)。当時の主な取引先は、上質な高級品だけど、自分の世代が知っているブランドではなかったんです。「ファッションはコミュニケーションツールになる」と考えているのですが、たとえば「どこのブランドの服を作っているの?」と聞かれたときに熱を入れて語れないと…。自分だけでなく後輩が同じことを感じるとまずいと思って、WRAPINKNOTを立ち上げました。
某有名メゾンでMD・生産をしていた友人が工場を見に来たとき、「このグレードでこんなにいろんなことができる工場は少ないから、何か自分でやったほうがいい」と背中を押してくれたのも、大きかったですね。
梅田:WRAPINKNOTの立ち上げ当初から、ニット工場として得意なことをベースにして、ハイゲージ、ミラノリブ、縫製ものを中心にしてきました。それと当時に今、力を入れているのが「ニットの表現力」。2023年秋冬コレクションでは「陶器」を裏テーマにして、釉薬の趣をモヘアニットで表現したり、ゴツゴツした焼き物の風合いをケーブルニットに落とし込んだり。テーマがあると、工場をはじめとするスタッフにも伝わりやすいんです。
古田:編み方など、現場の方からアイデアをもらうこともあるのですか?
梅田:僕が明後日の方向からパスを出して、彼らが応えてくれることはあります。自社でできる技術について、僕自身はあえて知り過ぎないようにしているんです。知りすぎると新しいアイデアが出てこなくて、選択肢が狭まるので。ものづくりをしている現場が近いから、新しいことをするときはすぐ現場に聞きにいって、可能性を探り合うんです。
古田:工場のメンバーと共に技術を継承しながら、常に進化もしているから、上質かつ新鮮なものづくりがかなうんですね。
古田:AnotherADdressは洋服をレンタルしてもらうサービスだから、実はニットは難しい商材。着用や手入れをすることで、毛玉や伸びやヨレなどが起こりやすいからです。そんな中、取り扱うニットブランド候補として、私たちバイヤーチーム全員が口をそろえたのが「ウメダニット!」でした。得意とされるミラノリブをはじめ、とにかく「ニットなのに持ちがいい」という印象で。
梅田:「持ちがいいニット」の理由は、糸の密度を詰めて生地を編み立てる、つまり度目を詰めるのが得意だから。しっかり編み立てると、形が崩れにくいんです。度目が詰まっているから、糸同士の摩擦が起こりにくく、毛玉(ピリング)のできにくさにもつながります。
古田:バイヤー全員が太鼓判を捺したニット技術で、しかもデザイナーズブランドにも引けを取らないファッション性も備えているWRAPINKNOTで、今回、別注をしてみようとなったんです。
古田:今回、別注品として3型作りました。AnotherADdressでは、性別を超えてユニセックスで着られるというのが大切なポイント。だから、たとえば従来は女性っぽいデザインが多いミラノリブのアイテムを「男性でも着やすいデザインに」などオーダーしました。
梅田:こだわったのは、男女どちらが着てもおしゃれに見える絶妙なシルエット。カラーも別注で用意したもので、ミラノリブのセーターは鮮やかな色が楽しめます。
WRAPINKNOTならではのミラノリブで仕上げた、シンプルなクルーネックのセーター。ユニセックスで着やすいよう、定番品よりややゆったりしたシルエットに。袖口は、すっきりしたリブなし仕様になってます。(梅田)
片畦編みのカーディガン。ビッグシルエットなので、女性ならトレンド感のあるゆったりした着こなしを楽しんで。袖口はリブ仕様のため、ブラウジングして袖の長さを自然に調節できます。(梅田)
紡毛糸を使用した、ボリューム感のあるローゲージのタートルネックセーター。一見シンプルだけど、ウメダニットならではの技術を取り入れ、太い糸のステッチを効かせたデザインに。さりげなく存在感のある微配色ステッチは、別注品ならではです。(梅田)
古田:今回の別注品では、あえてベーシックなデザインを選びました。個性的なデザインで溢れるAnotherADdressのなかでは地味な存在かもしれないけれど、着てみると、本当にいいものだと実感できるはず。まずはレンタルして袖を通して、着心地のよさを知ってほしいんです。長く愛用したくなったら、そのまま購入もできますよ!
梅田:別注品を通して、ブランドを知ってもらうきっかけになるのはうれしいです。トレンド性の高いデザインでそれなりに高価だとワードローブに加えるのを躊躇しがちですが、まずはレンタルでトライできると、ファッションの新たな楽しみが広がるはず。この別注品はベーシックでさまざまなアイテムと合わせやすいので、選んでくれる方の個性が光るコーディネートを楽しんでみてほしいです。
>ブランドプロフィール WRAPINKNOT
新潟県五泉市にて60年の歴史を持つ日本有数のニットファクトリー「UMEDA KNIT」の代表 梅田大樹が、ディレクターとして2012年SSシーズンよりスタートさせた、ニットウェアを中心に展開する日本のファッションブランド。日本製のニットウェアを現代的に解釈し、季節にあわせたニット素材と、他素材との組み合わせを経験に裏打ちされた技術によって形成し、高いデザイン性を備えた製品づくりを特徴とする。
公式サイト(外部サイトへリンクします)
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