「着る学校」は、日本のテレビ業界におけるスタイリストの草分けとして約50年のキャリアを持つ西ゆり子さんが主宰するスタイリングレッスン。一般女性を対象に「着る力」を身に付ける独自のプログラムを提供しています。
そんな「着る学校」がアナザーアドレスのためにスタイリングレッスンの基礎コースを特別にアレンジ。本サイトで「着る力」を身に付けるメソッドを半年にわたって毎週お届けします。スタイリングの基礎を学んで、アナザーアドレスをより一層楽しんでみませんか?
第1回となる今回は、「着る学校」の校長・西ゆり子さんにインタビューを実施。「着る学校」に込めた思いから、おしゃれを楽しむ秘訣までお話を伺いました。
―そもそもどうして「着る学校」を作ったのでしょうか。
西:「料理教室はあるのに、どうして着ることを教える学校はないんだろう」とずっと思っていたんです。おしゃれはセンスと思われがちですが、基礎を知れば、どんな人ももっとおしゃれになれます。知らないのはもったいない!お料理がその時々の気分や体調に合わせて美味しく作れるのは、調理法や調味料など、料理の基本的なことを知っているから。おしゃれも同じなんです。基礎が分かれば、毎日の服選びや着こなしの可能性が広がり、「なんかおかしい」と思った時も自分で直せるようになります。もっと自分らしく楽しめるようになりますよ。
―おしゃれの基礎とはいったい何でしょうか。
西:主に「色」「素材」「バランス」の3つですが、バランスが肝です。同じ服でも着方次第で、おしゃれになったり、ダサく見えたりしますよね。違いは、全体のバランスが取れているかどうかなんです。そして、それを応用したのが「トレンド」です。その他に「ブランド」や「TPOについての考え方」、ドラマの衣装を手がける際にプロが使っている手法「ドラマスタイリング」も紹介します。楽しく学習していきましょう。
西:ところで皆さんは、毎朝、服を着るのが楽しいですか。街ゆく女性たちを見ていると、そつがなくて感じは良いのですが、楽しそうには見えないんですね。自分の気持ちは二の次で、母や妻という役割やキャリアに相応しい服装をしなきゃと思っているような…お行儀が良すぎるのです。欧米の女性たちを思い浮かべてみてください。政治家やキャスターだって、鮮やかな色を着たり、肌を出したりして、おしゃれを楽しんでいるでしょう。私は日本の女性に一番必要なのは、服を着る時のワクワク、ドキドキ感じゃないかと思っているんです。
―でも、TPOは大事ですよね。お仕事服にそれは難しくありませんか。
西:テレビの報道番組でビジュアル(服装)監修をしていますが、ニュースキャスターにも同じアドバイスをしています。「これからは心が躍る‘好きな服’だけを着てください」と。当然、最初は戸惑っていましたが、今ではキャスターも制作スタッフも「無難は敵!好きな服を着る」を合言葉にやっています。担当して1年ほどですが、何より表情が明るくなりました。視聴者から寄せられる声も好評です。皆さんが思っているよりもはるかに、身につけるものがくれるワクワクのパワーは絶大なんです。
―たしかに、お気に入りの服を着た時は嬉しくて、ご機嫌になりますね。
西:そうでしょう。好きな服を着た時の高揚感は、周りの人にも伝わって、自分も周りもハッピーになるのです。それがファッションの力です。職種によってはスーツが必須だったり、ユニフォーム着用だったりと、それぞれに制約があると思いますが、それでもできることはあります。今日からは自分がおしゃれを楽しむことを最優先にして、必ず「好き」を取り入れてください。アナザーアドレスで服を選ぶ時、迷ってしまう方もいるかもしれませんが、「この服ステキ!着てみたい!」と、ときめいたものを大事にすると良いと思います。私は5分で3着選びました(笑)。皆さんも「好き」に素直になりましょう。
西:「好き」は、小さいことでいいのです。赤が好きな人なら、いつものパンツスーツに真っ赤なソックスを履いてみるとか、水玉フリークなら、水玉のハンカチをバックに入れておくとか。あくまで自分が少しでもワクワク、ドキドキすることが大切です。小さな一歩ですが、これが波紋のようにあなたの心にじわじわ広がって、おしゃれに大きな変化を起こすのです。このレッスンが終了する頃には、自分らしいおしゃれを楽しんでいるはずですよ。
次回は、好きな服と個性の関係についてご紹介します。2024年3月9日(土)公開の予定です。お楽しみに。
今後の「着る学校 基礎レッスン」授業テーマ一部抜粋。
・「似合わない色はない! 色の基礎1 相性の絶対ルール」
・「これだけは知っておきたい 素材の基礎 天然と化学」
・「バランスを制するものはおしゃれを制す 4つの基本バランス」
・「トレンドとは何か 流行の正体」
・「自分らしさを引き立てるドラマスタイリング」
着る学校:https://www.stylingschool.org/※外部サイトに遷移します
■西ゆり子 Yuriko NISHI
1974年にスタイリストとして独立。雑誌や広告のスタイリングを経て、テレビの分野へ。『11PM』『なるほど!ザ・ワールド』を皮切りに歌番組、バラエティ、ドラマへと活動の場を広げ、テレビ番組におけるスタイリストの草分け的存在に。現在は、役柄のキャラクターをファッションで表現する“ドラマスタイリスト”として活躍。『のだめカンタービレ』『セカンドバージン』『リーガルハイ』『FIRST CLASS』『七人の秘書』等、200以上の作品に関わる。近年は企業のユニフォーム監修や着こなし指導も行っている。一般向けのスタイリングレッスン「着る学校」校長。