着るレッスン Lesson2“着ることは自己表現”

トピックメインイメージ
2024.03.09
SHARE
facebookアイコン Xアイコン lineアイコン

スタイリスト・西ゆり子さんが主宰する「着る学校」が、“着る力”を身に付ける独自プログラムを特別にアレンジしてお送りする「着るレッスン」。2024年3月より半年にわたって毎週お届けしています。

Lesson2「着ることは自己表現」

第2回となる今回は第1回に続き、西ゆり子さんのインタビューを公開。“好きな服なら似合う”など、ファッションを思い切り楽しみたくなるような言葉が散りばめられたインタビューをぜひご覧ください。

好きな服なら似合います。まずは3回着てみましょう

撮影:回里純子

―前回、ワクワクすることがおしゃれで一番大切ということでしたね。

 

西:そうです。どんな時でも自分の「好き」が最優先。毎日コーディネートする時もアナザーアドレスを利用する時も、服を選ぶ時はいつも「これ好き?」と自分に問いかけてほしいのです。「これでいい」ではなく「これがいい」。これからはそうやって服を選んでいってください。実際にやってみると難しく、これまでお行儀よく着ていた人ほど苦労するようです。けど、諦めないでくださいね。今は自分の「好き」がわからなくても、毎日意識しているうちに、心の奥の「好き」をちゃんと思い出してきますから。

 

―好きだけれど、似合わない服はどうしたらいいですか。

 

西:好きな服なら似合いますよ。芸能人はイメージがあるので話は別ですが、一般の方が「似合わない」と言うのは、思い込みだったり、見慣れていないだけだったりするんです。だから、似合わないと思っても、まずは3回着てみましょう。初めて着た時は「やっぱりダメ」と思っても、2回目には抵抗感が薄れ、3回目は「あれ?似合うかも」って。基礎を知らないと着方が悪くなりますが、このレッスンでは、着こなしのテクニックもちゃんとお教えしますので、自信を持って着られるようになります。この道50年のプロが言うんだから(笑)、似合わないと思っても、一目惚れした服、心がときめいた服には、かならずチャレンジしてください。

 

―カラー診断や骨格診断は、どうなんでしょう。

 

西:診断結果は、参考程度にしてほしいと思います。もし提案された服にワクワクしないなら、着ない方がいいです。そういった無難な服は、失敗しないかもしれませんが、あなたの魅力を引き出しません。その逆に、結果に合わないからと、ときめいた服を諦めてしまうのもダメです。せっかくの出合いを逃してしまったら、それこそもったいないでしょう。大切なのは「好き」かどうか。というのも、若い時のおしゃれと、大人になってからの服選びは、まったくの別物だからです。街を歩いていると、流行のスタイルとは無縁なのに、思わず目を引くステキな人っているでしょう。それは、その人が良しとする世界観、生き方の哲学が、着ている服にきちんと表れているからなんです。

 

―だから、自分の「好き」が大事なんですね。

 

西:若い時は、みんなから可愛いと褒められるように、とにかくトレンドのおしゃれな服を着たいものですが、大人のおしゃれは「人生を表現するためのもの」。テレビ番組の企画のように、プロが全てを用意しておしゃれに変身させるのは簡単ですが、それでは、その人らしさ、その人ならではの魅力は伝わらないのです。自分の意思で着たい服を着てほしいと言っているのは、そういう理由からです。

服はその人を表す「名刺」

 

西:身につけているものは、知らず知らずのうちに「私はこういう人です」と相手に語りかけています。仕事のシーンにおいて、服は着る人を表す「名刺」なんです。そして、服にはパワーがありますから、着ているあなた自身も、知らず知らずのうちにそういう人になっていくのです。私はいつも「ワンランク上の服を着なさい」と生徒にアドバイスするのですが、自分にとって少し背伸びした服を着ると、服に引き上げられるのです。背筋が伸びて表情も変わりますし、服のパワーに見合う人になろうと自然に努力するようになるのです。アナザーアドレスを利用する際、そういう視点で服を選んでみるのも良いと思いますね。

 

―良い服を着ると、自信が出るのはわかります。

 

西:着るもので、自分をプロデュースしていくわけです。服を着ない日はありませんから、好きな服を着て、成長しながら理想に近づいていく人と、なんとなく着続ける人…この積み重ねの差は、年を重ねるごとに大きくなるでしょう。大人になってからの服選びは、「なりたい自分像」をはっきりさせておくことが大切なのです。難しいと思いますが、今日からそんなことも考えていってほしいと思います。


次回は、おしゃれの思い込みについて。3月16日(土)公開の予定です。お楽しみに。
 

着る学校:https://www.stylingschool.org/※外部サイトに遷移します


■西ゆり子 Yuriko NISHI
1974年にスタイリストとして独立。雑誌や広告のスタイリングを経て、テレビの分野へ。『11PM』『なるほど!ザ・ワールド』を皮切りに歌番組、バラエティ、ドラマへと活動の場を広げ、テレビ番組におけるスタイリストの草分け的存在に。現在は、役柄のキャラクターをファッションで表現する“ドラマスタイリスト”として活躍。『のだめカンタービレ』『セカンドバージン』『リーガルハイ』『FIRST CLASS』『七人の秘書』等、200以上の作品に関わる。近年は企業のユニフォーム監修や着こなし指導も行っている。一般向けのスタイリングレッスン「着る学校」校長。