着るレッスン Lesson3“思い込みを捨て、まだ見ぬ自分に出会いましょう”

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2024.03.16
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スタイリスト・西ゆり子さんが主宰する「着る学校」が、“着る力”を身に付ける独自プログラムを、アナザーアドレスのために特別にアレンジしてお送りする「着るレッスン」。2024年3月より半年にわたって毎週お届けしています。

Lesson3「思い込みを捨て、まだ見ぬ自分に出会いましょう」

第3回となる今回は、第1回第2回に続く西ゆり子さんのインタビューのラストスパートを公開。「着る力」を養うために必要なことなど、ファッションを楽しむ秘訣をお話しいただきましたので、ぜひ最後までご覧ください。

服が似合わなくなったのは「成長の証し」

―前回、「着るもので、自分をプロデュース」と聞いてハッとしました。

 

西:衣食住と言われるように、着ることは生きることの基本。もっともっと大事にしてほしいと思っています。中には「仕事服だからいいや」と割り切っている人もいるかもしれませんが、1日の約8時間、3分の1日をその服で過ごしているわけでしょう。だったら、好きなものを着て、楽しい方がいいじゃないですか。

 

―だけど、体型も変わりますし、年を重ねると、おしゃれに消極的になってしまいそうです。

 

西:40代を過ぎたあたりから、体型が変わったり、肌がくすんだり、見た目が変わっていくことで、自分に自信がなくなってしまう人もいますよね。おしゃれに悩んでいるのも、この年代が多いです。でも、昔と比べて失ったものを嘆いても仕方ない。「劣化」とか「老化」とか、嫌な言葉。私は、年を重ねるにつれて変わっていくことを「成長」と呼んでいるんです。

 

―服が似合わなくなるのも「成長」ですか。

 

西:そうです。私もそうだったのでよく分かりますが、お気に入りの服が似合わなくなるのは、ショックですよね。おしゃれが好きな人ほどなかなか受け入れられない。でも、変化を「成長」と捉えたら、どうでしょう。似合わなくなったのは、自分が次のステージに上がったから。成長した私にはもっと似合う服があるはず!と。そう考えると、素直に受け入れられ、なんだかワクワクしてきませんか。空いたスペースには、新たに似合うものが必ず入ってきます。「自分はこう」という思い込みは捨て、この先を楽しむ服、新しい自分を探した方が断然楽しいですよ!

「着る」から「着こなす」 自分の服にしていくことが大事

西:今の時代は「コスパ」「タイパ」などと効率を求める人が増えていますが、おしゃれというのは、何度も着て、失敗して、時間をかけて「自分の服」にしていくものです。そうしないと「ただ着ているだけ」。これではいつまで経ってもおしゃれな人にはなれません。襟を抜いたり、袖をまくったり、ボタンをいくつ開けるかと考えたり、日々自分らしく着こなす努力をすることが大切なのです。そして、この積み重ねが「着る力」に繋がっていきます。でも、いろいろ試してダメなら、服を少し寝かせてみて。

 

―服を寝かせるですか?

 

西:好きな服というのは不思議なもので、着てみて失敗したと思っても、3年くらい放っておいて着てみると、結構うまくいったりするのです。今、私のクローゼットには、ジルサンダーの黄色いスカートが‘熟成中’。一目惚れして買ったものの、どうにもしっくりいかないので、2回着て寝かせています(笑)。今はすぐに返品できる便利な世の中ですが、そんな風に時間をかけて服と仲良くなっていくのも、おしゃれの楽しみ方のひとつ。アナザーアドレスで一度着た服も、しばらくしてからリピートすると、また新鮮な気持ちで楽しめると思います。レッスンで着こなしが上達して、全然違った印象になる人もいるはずですよ。

 

―実践的なレッスンがますます楽しみになりました。

 

西:繰り返しになりますが、基礎は重要ですから、しっかり学んで繰り返し実践してください。ただし、何事にも例外はあります。基本を理解して、その後に「例外」を取り入れる柔軟さが、ファッションには大切なのです。基本を知らない「型無し」になるのではなく、まず基本を踏まえた上で自分らしく着こなす「型破り」へと進んでいきましょう。まずは毎日好きな服を着る!ここがおしゃれの出発点です。


次回は、2024年3月23日(土)公開の予定です。お楽しみに。

 

着る学校:https://www.stylingschool.org/※外部サイトに遷移します


■西ゆり子 Yuriko NISHI
1974年にスタイリストとして独立。雑誌や広告のスタイリングを経て、テレビの分野へ。『11PM』『なるほど!ザ・ワールド』を皮切りに歌番組、バラエティ、ドラマへと活動の場を広げ、テレビ番組におけるスタイリストの草分け的存在に。現在は、役柄のキャラクターをファッションで表現する“ドラマスタイリスト”として活躍。『のだめカンタービレ』『セカンドバージン』『リーガルハイ』『FIRST CLASS』『七人の秘書』等、200以上の作品に関わる。近年は企業のユニフォーム監修や着こなし指導も行っている。一般向けのスタイリングレッスン「着る学校」校長。